こんにちは。IKUMAです。
定番のボディバッグ【Vesto】をミネルバ・ボックスで製作しました。
Vestoの詳細は下記の記事もご覧ください↓↓
-
【新作ボディバッグ】Vesto トゴで製作しました
こんにちは。IKUMA です。 試作を幾度も繰り返したボディバッグ・・・、ようやく完成しました! モデル名は【Vesto ...
続きを見る
長くなってしまったので目次から飛んでください。
仕様
スペック
寸法(縦×横×マチ):16cm×28cm×10cm
重さ:580g
ショルダーストラップ:78cm~102cm(無段階調整式)
表革:ミネルバ・ボックス
裏革:リモンタナイロン
縫製:主にミシン縫い
価格:¥57,200(税込み)
ミネルバ・ボックス
言わずとしれたバタラッシー・カルロ社のミネルバ・ボックスを使用しました。使い込むほどに艶が増し、色が深く変化してゆきます。
リモンタナイロン
イタリア リモンタ社のナイロン生地は有名ブランドでも使用されています。その中でも「Davis」という生地を使用しました。
詳しくはこちらの記事もご覧ください↓↓
-
リモンタナイロンの取り扱い
こんにちは。IKUMAです。 リモンタ社のナイロン生地の取り扱いをはじめました。 リモンタナイロンとは? リモンタ社のナ ...
続きを見る
内ポケットの仕様
以前製作したものは内装がピッグスエードでした。スエードは起毛しているのでグリップが良く収納物がバッグの中で動きにくかったのですが、リモンタナイロンに変更したところ、滑りが良く収納物がバッグの中で動きやすくなってしまいました。ですので、これまでのフリーポケットに加えて縦収納のポケットを2箇所増設しました。
このポケットの片側には2.5cmほどのマチを設けたので、キーケースなど厚めの物も収納可能です。
縦収納のポケットはこんな感じで差し込むように収納します。
ポケットはヘリを薄く漉いて、リモンタナイロンを巻いて仕上げています。
玉縁(たまぶち)
内縫いのバッグは縫製をした後にバッグをひっくり返します。その時縫い目が現れます。
玉縁とは筒状の革のパーツを縫い目に挟み込む技法です。玉縁を付けることで縫い目のステッチを隠すことができます。また、装飾的な意味合いでも上品で丁寧に作り込まれた印象を与えます。
量産品の中には玉縁の中に細いプラスチック芯を仕込むことがありますが、スレにより芯が顔を出すことがあるので当店では革を特殊な漉き方をして、芯なしで製作しています。また、ミシンで製作する場合は革のテープを二つ折りにして縫いながら取り付ける場合が多いです。
当店では接着剤で玉縁をしっかりと形成した後に、接着剤で貼り付けています。そして最後にミシンで縫製します。何が違うかというと、前者は効率が良いが玉縁にハリ感が弱いです(接着剤を使わないので)。
後者は接着剤でしっかりと貼り付けてあるので玉縁自身に張りがあり、ある意味「芯」のような役割を果たします。ミネルバ・ボックスのような柔らかめの革を使用する場合、玉縁が「芯」の役割を果たすことでバッグの型崩れがしにくくなります。ちょっとしたことですが長く使っていただけるような仕立てをしています。
玉縁(たまぶち)ポケット
内縫いのバッグで使われる玉縁を今回はファスナーポケットに応用して玉縁ポケットにしました。
薄く漉いた革を二つ折りにして貼り合わせています。貼り合わせた側に厚みがでないように斜めに漉いてあります。
ポケットに合わせて貼り合わせてあります。段差ができないように薄く漉いて調整してあります。
ファスナーポケットに玉縁を付けることでファスナーの印象をできる限り抑えることができます。Vestoのコンセプトのひとつが「できる限り金具を見せない」なので、全てのポケットに玉縁を付けています。
玉縁があるとないとではバッグの印象が大きく変わります。
使い始めは玉縁に張りがありファスナーの開閉に若干重さがありますが、使用に伴ない革が柔らかくなることでスムーズになってゆきます。
メイン収納
収納例として
キーケース、二つ折り財布、L形ファスナーウォレット、小さめのペットボトル、ハンカチ、ティッシュケース、ミンティア
を収納してみました。
天ファスナーポケット、背面ファスナーポケット
天ファスナーポケット、背面ファスナーポケットの裏地にもリモンタナイロンを使用しています。
天ファスナーポケットは目薬やミンティアなどの小さいものの収納に適しています。
背面ファスナーポケットはスマホが横向きで楽に収納できるサイズ感です。スマホのような薄いものの収納に適しています。
収納例の動画はこちら↓↓を御覧ください。
コバ
コバはヤスリで滑らかにならしてコバ剤で磨く「切り目本磨き」で仕上げています。ミネルバ・ボックスは芯通しなのでコバは無染色でしあげてあります。
ショルダーストラップ
以前製作したモデルではヘリ返しで仕上げてあったショルダーストラップですが、今回は切り目本磨きで仕上げました。
表・裏ともにミネルバ・ボックスを使用。パーツ取りは首から背中にかけての背骨沿いの丈夫な部位を使用しています。それでも、使用に伴ない伸びる可能性があるので、がっつりと伸び止めテープを仕込んであるので、極端に伸びることはないです。
サルカンはブッテーロの芯にミネルバ・ボックスを巻いた仕様で、突き合わせたものを手縫いでかがっています。
ショルダーストラップの調整方法はこちらをご覧ください↓↓
バックル、引手
金属製の重厚感のあるバックルを使用。
爪が可動式のタイプ
引手はつまみやすい形状のものを選択しました。メイン収納は大きめの引き手。
天ポケット、背面ポケットは小ぶりの引き手。
Nero
ステッチは同系のブラック
コバはしっかりと磨き上げています
裏地はブルー
スライダーを片側に寄せると雰囲気が少し変わります。
Cognac
ステッチは同系のダークベージュ
裏地はブルー
Tabacco
ステッチは同系のブラウン
裏地はモカ
Oliva
ステッチは濃い目のグレー
裏地はモカ
オンラインショップに掲載しました
即納品
それぞれ1点づつですが、即納品あります。
こちらは全て「左肩から右脇にたすきがけ」用です。「右肩から左脇にたすきがけ」をご希望の方は受注生産でオーダー可能です(ファスナーの取り付け方向が異なります)
※たすき掛けの方向は比率的にどちらが多いのでしょうか?
受注生産品
受注生産品は「革の色」「裏地の色」「ファスナーの開閉方向」の三点を選択できます。
革の色
Cognac,Tabacco,Nero,Olivaの4色からお選びいただけます。
裏地の色
ブルー、モカ の2色からお選びいただけます。
ファスナーの開閉方向
天ファスナーポケット と 背面ファスナーポケットですが、即納品は左から右方向に開きます。
これはボディバッグを左肩から右脇にかけることを想定しています。
右肩から左脇へかける場合は 天ファスナーと背面ファスナーの取り付け方向を反転させます。
ファスナーの開閉方向は「左肩から右脇にかける」と「右肩から左脇にかける」の2パターンからお選びいただけます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
ミネルバ・ボックスは経年変化が早く傷・シミも魅力に変化させてしまう面白い革です。使い込むと革が柔らかくなって「くたっ」とした風合いに変化してゆきます。オイルレザー&染料染めの特徴で使い始めは特に色落ちや色移りがしやすいですが、一年程度使用して光沢がでてくると収まってきます。それでも夏場に汗をかいたとき、濡れたときは色落ち色移りはするのでご注意ください。
今後、シュランケンカーフのブラックとトープでも製作予定です。色移りはちょっと・・・、という方にはこちらがオススメです。(販売価格は上がってしまいますが)